に、この素晴らし

に、この素晴らし

に、この素晴らしい光景をやきつける。

 海からの眺めも最高だが、これもまた素晴らしい。

 感動をこえるもので、体が震える。それを享受できる、素晴らしい仲間がいる。それが、感動に拍車をかけている。

 おれたちは、ときを忘れそうになるほど、この神秘的で雄大な景色を眺めていた。

 おれたちは、肺癌咳嗽 夕刻になるまでに江戸へ無事に舞い戻った。

 医学所にいってみる。すでに数名、戻っていた。野村と市村、田村も戻っていた。心から再会を喜びあう。

 法眼は不在であったが、医学所にいる医師や医師見習いたちも、喜んでくれた。

 とりあえずは、双子が五兵衛新田、現代では足立区綾瀬というところにある名主のに話をつけ、そこで過ごせることになった。とはいえ、金子家にも準備がいる。一両日中に、移動することになる。

 まだ、ほとんど戻ってきてはいない。

 とりあえずは、医学所ちかくのちいさな宿に、戻っていて元気な者だけでも移り、そこでしばしまつことになった。

 双子はそのまま、日野方面へと出立する。局長をはじめ、さまよえる仲間たちをピックアップしてまわるという。

 特殊能力をつかって。

 おれたちも、悠長にするわけにはいかない。屯所として使っていた秋月邸にゆき、仲間が居ないか確認したり、それ以外で逃げてきそうなところを訪れては、人々に言伝を頼む。

 みかけたら、医学所か宿にくるようにと。

 疲れはマックスであるが、みなが揃うまでは休むわけにはいかない。っていうか、心配で休めそうにない。

 双子が局長や副長、再会できた仲間たちをみつけ、こちらに向かっているという報をもってきたのは、その翌日のことであった。

 それまでに、数名ずつでも戻ってきているが、怪我をしている者もすくなくない。そういった隊士は、医学所で手当てを受け、そこで休ませてもらっている。

 局長たちが戻ってくるまで、あと数時間はかかるだろう。医学所の怪我人をみにゆこうと、でかけてみた。

 野村と市村と田村もいっしょである。四人プラス一頭で、訪れてみた。

 医学所までの道々、すれちがう人々が、あきらかに出陣前とは様子がちがう。

 みな、敵が江戸に迫りつつあるのを肌で感じているのである。

 対岸の火である。みな、ここにきてやっと危機感を抱いている。

 同時に、あることないこと、いろんな噂に翻弄されている。

 医学所の敷地に入ったところで、永倉と原田と斎藤が、みしらぬ男と話をしているのに気がついた。

「先生方」

 野村が声をかけると、四人が同時にこちらへ体ごと向ける。

 そのみしらぬ男が、市川宇八郎だということを直感する。

 ってか、タイミング的に、その可能性が高いってだけだが。

 市川らしき男は、着物袴に帯刀している。それも、ずいぶんと着古している感が半端ない。

「よう。おまえたちか」

 永倉の声がかたい。

 数年ぶりに会った幼馴染をまえに、ひかえめにいってもは、感動しているものとはほど遠い。

 その夜、親父ははやくかえってきた。

 はやいといっても、日付がかわるまえくらいである。

 親父の仕事は、ブラックである。

「おかえりなさい」

 玄関ででむかえると、親父は照れたように微笑む。

「こっそりかえってきたつもりだったが。起こしたか?」

「ちゃう。トイレや。トイレいこ思て」

 いつもとおなじ嘘をつく。

 親父もそうとわかっていて、おなじことをきいてくる。

 親父は、いつもとおなじように台所に直行する。

 コンビニで買ってきた紙パックのミルクを、コップにつぐ。

 親父は、「ミルクを飲めば背が伸びる」信奉者である。

 もちろん、おれにもすすめ、自分もつねに飲んでいた。

 それって、育ち盛りに飲むから効果があるんじゃね?

 そのことに気がついたのは、高校のとき。

 親父も小柄である。

 それでも、背の高い選手から、ぱんぱん面を奪った。

「父さん、写真。なんや、しらん子が写ってんで」

 親父に、その写真をみせる。

 親父が

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